YAYAKA NETWORKとは何か


はじめに

私はYAYAKA NETWORKを知りすぎたうえに、この記事の読者としてYAYAKA NETWORKを知らなかった人を想定しているため、どこから説明すればよいのかわからない。おそらくYAYAKA NETWORKを表現する単語は”Yayaka”以外に未だ存在しない。従って以下は全てYAYAKA NETWORKの隠喩である。


用語

コミュニケーション

我々は「コミュニケーション」という言葉を「ある表現物がその発信元から別の人に渡されるまでのプロセス」と再定義する。「ある表現物」というのはあらゆる形式、文章・音声・映像などを含む。

コミュニケーションメディア

コミュニケーションメディアはWebサイトよりは狭く、SNSよりは広い概念で、人々のコミュニケーションを媒介するものである。

コミュニケーション主体

コミュニケーションを行う人であり、「コミュニケーションメディアのユーザー」とほぼ同義である。


本物のコミュニケーションメディアについて

本物のコミュニケーションメディアとは

YAYAKA NETWORKは「本物のコミュニケーションメディア」を目指すものであるが、この章ではYayaka Network Organizationが考える本物のコミュニケーションネットワークについて説明する。

本物のコミュニケーションメディアはあらゆるコンテンツ形式を許す。

人々がコミュニケーションに使うコンテンツ形式は多様である。例えば、自分の声を使う人もいれば、イラストを使う人もいる。そして、新しいコンテンツ形式は常に生まれる可能性がある。本物のコミュニケーションメディアはそれらのあらゆる形式を媒介するべきである。

本物のコミュニケーションメディアではコンテンツがあらゆる場所に届く。

人々はコンテンツを自分や相手の物理的な位置に関係なく様々な障壁を超えて配信する権利がある。したがって、本物のコミュニケーションメディアはあらゆる壁を取り去り、さらにあらゆる場所の距離をゼロにすべきである。

本物のコミュニケーションメディアは利用者を差別しない。コミュニケーションにおいて、全ての主体は平等である。

力の不均衡によって人々の創造性は低下する。例えば、コミュニケーション主体間に知名度の差がある場合、知名度のあるユーザーはその立場にあぐらをかいて創造を怠り、無名なユーザーは創作を行う動機を失う。本物のコミュニケーションメディアでは全ての主体が平等である。

本物のコミュニケーションメディアにおける支配者はそれぞれのユーザーである。

YAYAKA NETWORK以前はメディアの運営者がユーザーを支配していた。そのため、メディアがユーザーを追い出したり、彼らの創作物を検閲したりしていた。本物のコミュニケーションメディアではユーザーがメディアの横暴を制限する。

ソーシャルグラフはユーザーの選好によって構築されるべきである。

人々が一生の内に受け取れる情報の数には限りがある、そして受けとりたくない情報もある。とくに広告は人々の時間や関心をうばうものであるため多くのユーザーは受けとりたくないと考えている。対して、情報の発信者も全ての人間に情報を渡すことを特に必要としているわけではない。また、プッシュ通知は便利な反面、現状ほとんどの通知は無意味なものであり、人体に有害である。このような際どいコンテンツはユーザーが完全にコントロール出来る必要がある。したがって、本物のコミュニケーションメディアでは、情報がどのように配信されるか、どの情報を受け取るかはユーザーが完全にコントロールできるべきである。

本物のコミュニケーションメディアはユーザーによって運営される。

伝統的なコミュニケーションメディアはその運営に大きなコストを必要としていた。そのため、それらは資本をもった個人や集団によってのみ維持されていた。そのような状況では資本を持たない者はメディア内政治の発言権も持たない。また、運営者が資本をうしなっただけでその空間は崩壊する。本物のコミュニケーションメディアは分散して運営され、また、運営のコストが小さいため資本に関係なく運営できる。そして、それは最後のユーザーが運営をやめるまで維持される。


YAYAKA NETWORKの特異性

概要

本章ではYAYAKA NETWORKが他の分散コミュニケーションアーキテクチャと異なる点をいくつか紹介する。

YAYAKA NETWORKではユーザーは特定のサーバーやソフトウェアから完全に開放される(そして開放されるべきだ)。

YAYAKA NETWORK以前のインターネットではコミュニケーション主体は自身のアイデンティティーを各サービスごとに持つということが当然のように行われていた。これは本来単一である主体のアイデンティティーの不完全な複製を行うことで、不必要にユーザーを各サービスに結びつけ、またユーザーにそれらの無駄に創出された管理コストを負わせるというものである。YAYAKA NETWORKでは各ユーザーはそれぞれ特定のサーバーから独立した単一のアイデンティティーを持ち、それがすべてのサービスで共通に使える。したがってユーザーは特定のサービスやソフトウェアから開放され、またアイデンティティーの管理コストは本来のものである。

YAYAKA NETWORKでは、原理上、全てのインスタンスに遍在できる。

YAYAKA NETWORKでは各ユーザーのアイデンティティーはインスタンス群によって形成されるそのネットワークの上に浮いて存在ししている。そしてどれだけの範囲に足を伸ばすのかは完全に自由であるため、理論上、全ての場所に同時に存在できる。実際に、全てのインスタンスにアイデンティティーをもつ少女ヤヤカの存在が予想されている。


Yayaka Network Modelについて

YAYAKA NETWORKでは全てのコミュニケーションをYayaka Network Modelに抽象化する。Yayaka Network Modelではコミュニケーションを5つの要素に分解する。

  • presentation

    コミュニケーション主体とメディアの接点となる。

  • identity

    コミュニケーション主体のアイデンティティーを表す。

  • event

    ネットワーク上で交換されるもの。

  • repository

    eventを配信する際の始点。

  • social-graph

    eventをユーザーの選好に基づいて配信する。


YAYAKA NETWORKの応用範囲

YAYAKA NETWORKは以下にあげるようなものに応用可能である。

  • プライベートチャット (例: LINE, Facebook Messenger)
  • マイクロブログ (例: Twitter, Mastodon)
  • グループチャット (例: Slack)
  • インターネット掲示板 (例: 2ch, Reddit)
  • ブログサイト
  • 動画配信サイト (例: YouTube)
  • 音楽配信サイト (例: SoundCloud)

以上の共通点は「配信」と「購読」で構成されるということである。たとえばチャットではチャットルームへのテキストの「配信」が行われ、それを参加者は「購読」している。また、マイクロブログでは、投稿が自分をフォローしている人に「配信」され、それぞれのタイムラインはフォローしている人の投稿を「購読」している。


YAYAKA NETWORKは何ではないのか

ここまで、YAYAKA NETWORKが「何であるか」を説明してきたが、この章では「何ではないのか」を説明する。いくつかYAYAKA NETWORKのスコープ外であるものを以下に挙げる。

  • 特定のソフトウェアやサービス、プラットフォームを作る

    YAYAKA NETWORKは固定された形を持たない。

  • Yayaka Protocolによる既存の通信プロトコルの置き換え

    YAYAKA NETWORKはHuman-communicationを抽象化したプロトコルであり、IPなどを置き換えることはしない。

  • 特定の方法でホスト間の通信を行うことによる連合

    Yayakaプロトコルでは低レイヤーにおけるホスト間の通信がどのように行われるかを定義していない。また、YayakaプロトコルはAmorphosプロトコルの上層プロトコルであるが、Amorphosプロトコルはホスト間通信に任意の方法を用いることができる。


さいごに

YAYAKA NETWORKはまだ存在していない抽象的な概念のため、それを簡潔に説明することは困難であった。以上の隠喩が少しでも読者の脳に少しでも形のあるYAYAKA NETWORK像を映したことを祈るばかりである。そして、それを鮮明にするための努力は今後行っていくつもりである。


リンク

Written on July 9, 2018